弁護士・星野学

* 実績については、ご了解頂いた一部案件のみを抜粋してお載せしています。

常陽リビング4月9日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『成人年齢の引き下げについて』


令和4年4月1日から成人年齢が引き下げられたそうですが、普段の暮らしはどのように変わるのでしょうか?


普段の暮らしで、最も大きな影響が出るのは「契約」に関してだと思います。

例えば、18歳や19歳で「契約」をした場合、親であってもその契約を取り消すことができなくなります。

「契約」と言われてもあまり身近に感じられないかもしれませんが、無理して高い家賃のアパートを借りてしまった、インターネット広告を見て高額のダイエットサプリを定期購入した、知人から必ず儲かると言われて暗号資産(仮想通貨)に投資をした、オンラインゲームで高額の課金をしたなどは、いずれも「契約」です。

未成年者であれば親の同意がないことを理由に比較的簡単に契約を取り消してお金を取り戻せました。しかし、成人の場合は、だまされた、脅されたという事情があればともかく、そうでなければ契約を取り消すことは困難です。

成人になるということは、それに応じた責任が生じることでもあります。不利益や損害を受ける前に、契約の内容をよく確認した上で契約する必要があるでしょう。

なお、お酒やタバコは20歳になってからという点は変わっていません。

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常陽リビング2022年4月9日号

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常陽リビング2月11日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『子どものSNS犯罪被害について』


最近、子どもが誘拐など犯罪の被害に遭うきっかけがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だったというケースが多いのですが、被害を未然に防ぐ方法はあるのでしょうか?


18歳未満の子どもがSNSなどを介して、犯罪に巻き込まれるケースは少なくありません。警察庁のデータによると、小学生の被害件数が増加し、犯罪の内容もわいせつ行為や誘拐など重大な犯罪が増加しているとのことです。

大切な子どもの被害を未然に防ぐために参考になるのが、2021年に明らかにされた警察庁の調査結果です。それによれば、被害者のアクセス手段の90%以上がスマートフォンであり、また、被害者の85.5%が被害時に不適切なサイトやアプリをブロックする「フィルタリング機能」を利用していませんでした。

社会経験の乏しい子どもが、ネット上の悪人やウソを見抜くことは不可能です。「自分の子どもは大丈夫」「使用方法について話し合っているから大丈夫」など過信するのではなく、子どもを物理的に危険から遠ざけるフィルタリング機能を利用すべきでしょう。

さらに、最近では年齢認証のない動画投稿サイトやゲームなどでもメッセージのやりとりができますので、フィルタリング機能だけでは不十分なことを認識し、子どもが使用するスマートフォン、PCを定期的に確認することも必要でしょう。

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常陽リビング2022年2月11日号

 

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常陽リビング12月4日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『我が家に「再び」カニがやってきた!』

Q
買った覚えのない「カニ」が知らない業者から届き、一緒に高額の請求書が入っていました。以前、このような場合は「勝手に処分してはいけない」と回答されていたと思うのですが、実際にどうすれば良いのでしょうか。

A
前回の「カニ」のご相談の時は、御歳暮シーズンなどに購入した覚えがない商品が一方的に送りつけられた場合、それを間違えて食べてしまったら代金を支払う必要があり、たとえ業者に連絡して商品の引き取りを拒否されたとしても、その商品は一定期間保管をした後でなければ処分できないといった消費者にとって不利な回答になっていました。

しかし、令和3年の法改正により、業者は送付した商品の返還を請求することができないと定められました。

この法改正により、買った覚えのない商品を受け取った人は、その商品をすぐに処分してしまって良いことになりました。

もちろん、代金を支払う必要はありません。

それにもかかわらず業者から代金を支払うようにしつこく迫られたり、すでに業者に代金を支払ってしまったというような場合には、なるべく早くお近くの消費生活センターや弁護士に相談することをお勧めします。

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常陽リビング2021年12月4日号

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常陽リビング11月13日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『隣地からはみ出ている木の枝について』


境界を越えて、隣地の木の枝が伸びてきて困っています。法律相談で弁護士から「枝を勝手に切ってはいけない」と言われましたが、何か良い方法はないでしょうか。


たしかに現行法では、境界を越えてきた「根」は切っても良いが「枝」は樹木の所有者に切ってもらわなければならない(自分で切っちゃダメ)と定められています。

しかし、法改正により樹木の所有者に枝を切るように催告(請求)したが、相当の期間内に枝を切ってくれない場合には、自分で切ることができるようになります。

ただし何点か注意が必要です。まず催告は、文書で通知することが望ましいです。また樹木の所有者が複数の場合には、所有者全員に対して行う必要があります(ただし、所在が不明の者には不要)。

そして、枝を自分で切った場合には伐採費用を樹木の所有者に請求することもできます。業者を利用するような場合には、あらかじめ所有者に見積額を知らせておいた方が後の争いを防止できるでしょう。

最後に大事なことですが、この改正法はまだ施行されていませんので、実際に施行(令和5年を予定)されたことを確認してから行動する必要があります。

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常陽リビング2021年10月9日号

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常陽リビング10月9日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『いらない土地の処分について』


相続した使う予定のない土地がなかなか売れません。草刈りや固定資産税の負担もあるので無料でも良いから手放したいのですが、何か良い方法はありますか。


令和3年4月に「相続土地国庫帰属法」が成立しました。2年以内の施行とされており令和5年には同法に基づき、相続又は遺贈により土地(農地・森林等も対象)の所有権を取得した相続人がその土地を国にもらってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まる予定です。

この制度を利用することで、不要な土地を処分することができます。不使用の土地でお困りの方には朗報かもしれません。

もっとも、この制度を利用するためには手数料を払って審査を受けなければなりません。建物が建っている、他人が道路等で使用している、土壌が汚染されている、境界が不明確、崖などで管理に多大な費用がかかるなどという場合には審査に通りません。

また、審査に通ったとしても国に10年分の土地管理費相当額を支払わなければなりません(具体的な金額はまだ決まっていません)。制度を利用する際のハードルは高そうですが、土地処分の選択肢のひとつとして、今から情報収集をしておいても良いかも知れません。

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常陽リビング2021年10月9日号

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