常陽リビング

* 実績については、ご了解頂いた一部案件のみを抜粋してお載せしています。

常陽リビング7月28日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『成年年齢の引き下げ』


大人になる年齢(成年年齢)が、20歳から18歳に引き下げられると聞きましたが、どんな影響があるでしょうか。


今年6月、法改正が行われ、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました(平成34年4月実施予定)。

今回引き下げられたのは「民法の成年年齢」だけで「成人」一般ではなく、あくまで「民法に関する分野では18歳を成人として扱う」という意味です。

例えば19歳の人が高価な商品を購入する契約をした場合、以前は未成年を理由に取り消すことができましたが、法改正後は取り消せなくなります。借金・ローンなども同様です。これに対して、喫煙・飲酒・公営ギャンブルなど民法と関係がない分野では解禁年齢が今まで通り20歳からのままとなります。

今回の改正で18歳以上の人が社会で活躍できる場面が広がる一方、大人としての責任も負うことになります。実施されるまでの間に契約締結の意味や借金・ローンの危険性などをきちんと勉強しておく必要があると思います。

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常陽リビング6月23日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『日本版司法取引制度』


テレビのニュースで「司法取引」が始まったと言っていました。どのような制度か教えてください。


アメリカのドラマでは刑事が犯人に対して「ボスの犯罪について証言すれば、お前の罪は見逃してやる」などと司法取引を持ちかけるシーンが出てきます。

日本でも犯人が検察官の捜査に協力すれば、見返りとして刑事責任が軽くなったり裁判にならないで済む「日本版司法取引制度」が始まりました。

もっとも、この制度は武器・薬物の密輸、振り込め詐欺、企業の不正行為など、大まかにいうと「組織的な犯罪行為」が対象とされています。

したがって、他人の犯罪に関する情報を提供すれば自分の罪が許されるというわけではありません。例えば、飲酒運転で人身事故を起こして裁判になりそうな犯人が、自分の罪を軽くしようと「強盗をした友人の情報を提供する」と司法取引を持ちかけたとしても自分の罪を軽くすることはできません。

刑務所に行かないですむ確実な方法は、そもそも「悪いことをしない」ことです。

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常陽リビング5月26日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『駐車場の交通事故』


駐車場内の通路を走行していた時に駐車スペースから出てきた車と接触しました。私と相手方のどちらが悪いのでしょうか。


道路を走行中に脇(路外)から出てきた車と接触した場合、脇から出てきた車の方が悪い(過失が大きい)とされるのが一般的です。しかし、駐車場内の交通事故は事情が異なります。

駐車場の駐車スペースはもともと車が出入りする場所ですから、場内の通路を走行するときは車が駐車スペースを出入りすることを予測しなければなりません。そのため、駐車場内の通路を走行していた車と駐車スペースから出てきた車が接触した場合、道路とは異なり、通路を走行していた車の方が悪いと評価されるケースが多くなります。

したがって、駐車場内の通路を走行するときには、駐車スペースを出入りする車を優先させ、手前で停止して待っているくらいの心の余裕を持つことが大事になります。逆に、自分が駐車スペースを出入りする際には、出入りすることが分かるようハザードを点灯させるなど、周囲に配慮するようにしましょう。

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常陽リビング4月28日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『刑務所から逃亡した受刑者の罪について』


刑務所から逃亡した受刑者はどのような罪になるのでしょうか?


逃走に対する処罰は「1年以下」の懲役刑です。ちょっと軽い気がしますが、これはただ逃げた場合。刑務所のドアなどの器具を壊したり看守を脅して逃走した場合には「加重逃走罪」とされ、5年以下の懲役刑が科されます。逃走のために住居に侵入し服やお金を盗めば「住居侵入罪」や「窃盗罪」となり、さらに罪が重くなります。

逃走に関する罪は、裁判所の手続きにより身柄が拘束された者を対象としています。従って、裁判所の手続きにより身柄が拘束されていない犯人、例えば現行犯逮捕されたばかりの者が逃走したとしても罪にはなりません。

これは、裁判手続き・司法制度自体には被害を与えていないからという理由です。ただ、罪には当たらないとしても裁判官の心証を悪くし、刑を重くする可能性があるので、捕まったのに逃げるのはやめた方がよいでしょう(もちろん、そもそも捕まるようなことをしないでくださいね)。

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常陽リビング3月17日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『刑事処分と仕事の関係について』

Q
罪を犯し、刑事裁判で「有罪判決」を受けると仕事を辞めさせられてしまうのでしょうか。

A
一口に有罪判決といっても、刑務所に入らないで済む執行猶予や罰金もあります。従って「絶対」とは限りません。

しかし、職業や立場によっては裁判になっただけで「仕事に就けない」「資格を失う」「業務を停止される」などの処分を受ける場合もあります。一例ですが、罰金刑以上を受けると医療従事者の資格を取得できない場合があります。弁護士や司法書士などのいわゆる「士業」のほか、取締役、教員、公務員、団体役員などは、執行猶予でも資格や身分自体を失います。また、医師などは業界内部の決まりで業務停止などの処分を受ける場合があります。罪の重さやさまざまな事情、早急な対応により裁判を避け、仕事を辞めずにすむ場合もあります。

弁護士には守秘義務があり、相談内容は相談者の家族にも漏らしませんので、事故や事件を起した場合はできるだけ早く弁護士に相談あるいは対応を依頼することをお勧めします。

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