常陽リビング

* 実績については、ご了解頂いた一部案件のみを抜粋してお載せしています。

常陽リビング3月12日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『認知症患者と配偶者の責任について』


認知症の夫が線路に立ち入って発生した事故について妻の責任が問題となっていますが、どういうことなんでしょうか?


この事件は、認知症の夫が線路に立ち入り列車に衝突して死亡した事故で、列車の遅れなどにより損害が生じたとして鉄道会社が妻に損害賠償を求めたというものです。

当初、裁判所は夫婦がお互いに協力し扶助する義務を定めた民法の規定を根拠に、妻は当然に認知症の夫を監督しなければならず、その監督を怠ったため事故が生じたとして、妻に損害賠償を命じる会社側勝訴の判断をしました。

これに対して最高裁は、妻の損害賠償義務を否定する逆転判決を下しました。といっても、今回は妻も高齢(当時85歳)で身体に障害もあり、そもそも一人で夫を監督できる状況になかったというケースでした。

したがって、最高裁は全面的に妻の責任を否定したわけではありません。例えば認知症の夫が何度も徘徊して出歩いているのを知っていながら放置していたような場合の事故については、妻に損害賠償を命じる判決が出る可能性もあります。

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常陽リビング2016年3月12日号

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常陽リビング2月13日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『違法薬物について』


最近、有名人や若年者が違法薬物を使って逮捕されたという報道が多いですが、被害に遭わないために何か有効な対策はないのでしょうか?


著名な歌手やスポーツ選手、県内在住の中学生が覚せい剤を所持・使用して逮捕されたという報道がされています。このように違法薬物の広がりは深刻であり他人事ではありません。

また、薬物事犯は再犯率が高く、50歳以上では8割の人が逮捕後に再び薬物に手を出すという現実があります。そのため、いったん違法薬物に手を出すと簡単にやめることはできないといわざるを得ません。

この点、最初に薬物に手を出すきっかけの多くは「知人から誘われた」というものがあります。そうすると、家族や大切な人が違法薬物に手を染めないようにするためには、「違法薬物に触れない・触れさせない」ことが重要です。

具体的には生活態度の変化にすぐ気付けるよう日頃からコミュニケーションをとり、素行が悪い人と接触させない、素行が悪い人が集まる場所に近づかせないように注意するなどの「水際作戦」が有効だと思います。

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常陽リビング2016年2月13日号

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常陽リビング1月9日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『離婚と住宅ローンについて』


離婚に伴い私の住宅ローンを妻が代わりに支払うという約束で自宅を妻の名義にする予定ですが、それを銀行に説明する必要はありますか。


住宅ローンの「借主」自体を変更するかどうかで異なります。

住宅ローンは借主と銀行との約束ですから、借主を夫から妻に変更する際には銀行の許可が必要になります。したがって銀行への説明が必要不可欠です。

これに対し、借主は夫のままで返済だけを妻が行う場合には特に銀行に説明する必要はありません。なぜなら自宅の名義を妻にしても住宅ローンの借主が夫から妻に変更されるわけではないので、銀行は今まで通り夫に住宅ローンを支払ってもらえばよいからです。そのため、自宅を妻名義にしても妻(その頃は他人ですね)が住宅ローンの支払いを滞納すれば、夫が他人名義となった家の住宅ローンを支払わなければなりません。

したがって、離婚に伴い自宅の所有権を移転する際の対応(それだけに限りませんが)については、具体的な約束をする前に弁護士に相談することをお勧めします。

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常陽リビング2016年1月9日号

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常陽リビング12月12日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『刑事裁判を欠席するとどうなるのか』


悪いことをして刑事裁判になっていながら勝手に裁判を休んでしまう人がいますが、そんなことが許されるのでしょうか。


身柄を拘束されずに起訴された場合(在宅起訴)や保釈されている場合、被告人は自分の家から裁判に出頭することになります。

もちろん、逃亡を図りそうな人はあらかじめ身柄が拘束されているので、被告人が裁判に出頭しないケースは滅多にありません(たまに日時を勘違いして裁判に来ない人はいますけど…)。

法律上は被告人が裁判に出頭しないと裁判を開けないことになっています。したがって、この場合、裁判官は裁判を延期せざるを得ません。それじゃあ休んだ人の勝ち?かといえば、そんなことはありません。正当な理由もなく裁判に出頭しない被告人に対しては、「勾引」(こういん)といって身柄を拘束して裁判を受けさせる手続きがあります。

ちなみに、被告人ではなく召喚を受けた証人などが正当な理由もなく裁判に出頭しない場合には過料・罰金という制裁がありますが、被告人には罰則はありません。不公平にも感じますが、きっと、いいかげんな被告人には厳しい判決という制裁がくだされるからでしょう。

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常陽リビング2015年12月10日号

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常陽リビング11月14日号掲載 弁護士・星野学のくらしの法律『マイナンバー制度について』


マイナンバー制度が始まりますが、個人情報やプライバシーの問題はないのでしょうか。


平成28年1月からマイナンバー(社会保障・税番号制度)の利用が始まります。役所から送られる関係書類がすでにお手元に届いた方もいるかもしれません。書類の中の「個人番号カード」の申請書により顔写真付きの個人番号カードを作成すると、公的な身分証明書として利用できます。

現在のところマイナンバーは社会保障関係や税務関係、災害対策での利用が予定されています。したがって、現段階でマイナンバーを教える相手は勤務先や社会福祉関係の事業主、行政機関などに限られます。

また、行政機関などにマイナンバーを知らせる時は顔写真付きの個人番号カードによるか、カードがない時は免許証やパスポートなどで身元を確認することになっているので、あなたのマイナンバーを知った他人があなたになりすますことは難しいはずです。

心配し過ぎると逆に犯罪者につけ込まれて詐欺の被害に遭いかねませんので、心配であれば役所などに問い合わせてみましょう。

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常陽リビング2015年11月14日号

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