当事務所が取り扱う『高次脳機能障害』とは、交通事故による頭部外傷によって脳がダメージを受け、その結果、脳の機能のうち高次脳機能部分に障害が残り、社会復帰などが困難になる後遺障害です。
高次脳機能障害は、失語、失認、失行という異常行動のみならず、外見からは判断しにくい認知障害(記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下など)や人格変化(感情易変、暴力・暴言、攻撃性、幼稚、性的羞恥心の低下、多弁、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、被害妄想など)といった形で交通事故の被害者の社会復帰を困難にしています。
高次脳機能障害は、脳の局在的損傷(脳挫傷など脳表面に外形的な異常が存在するような損傷)のほか、びまん性脳損傷(軸索損傷)のように脳表面の形態的異常を画像によって確認できないような脳損傷の場合にも生じます。
そして、びまん性脳損傷(軸索損傷)とは大脳皮質と脳底(大脳辺縁系および脳幹)部を連絡する神経軸索が広範に断線したり損傷を受けている病態ですから、以下のように多彩な症状として発現してきます。
そこで、早期(症状固定前)に脳神経外科をはじめ各部門の専門医に診てもらい、事故と被害者ご本人に発現してる具体的な症状との因果関係を立証していかなければなりません。
しかしながら、専門医は事故にあう前の被害者ご本人の性格、判断力その他の能力について知り得ませんので、被害者ご本人における支障や変化が見過ごされてしまうおそれがあります。
このような場合、ご家族と高次脳機能障害の事案に精通した弁護士とが協同して、高次脳機能障害によって被害者ご本人やご家族にどのような日常生活における支障や変化が発生しているのかについて、後遺障害認定手続の場では自賠責損害調査事務所に、保険会社との示談交渉の場では保険会社に、裁判の場では裁判所にそれぞれ理解してもらえるように主張し、立証していかなければなりません。
そして、高次脳機能障害で苦しんでいる被害者ご本人やご家族にとって、このような主張・立証作業は骨が折れるとともに困難な作業となり、被害者ご本人の後遺障害の有無及び程度を正確に判断してもらうためには、交通事故による高次脳機能障害の事案に精通した弁護士によるサポートが必要です。
当事務所の弁護士は、高次脳機能障害に苦しむ被害者ご本人やご家族をサポートするために、高次脳機能障害についての各種研修会などに積極的に参加し、この障害についての知見を深めるべく日々研鑽をし、保険会社との示談交渉や裁判の場で、以下のようなパフォーマンスを発揮しています。
遷延性意識障害とは重度の昏睡状態を指す症状で,一般的に植物状態とも言われる状態のことをいいます。
日本脳神経外科学会によれば,以下の6項目が治療にもかかわらず3か月以上続いた場合を遷延性意識障害(植物状態)と定義しています。
遷延的意識障害(植物状態)は交通事故の後遺障害の中でも最も重篤な後遺障害であり,被害者ご本人の損害のみならず,その身の回りで常時介護を余儀なくされる家族の肉体的・精神的負担も計り知れないものとなります。
特に加害者側に対する損害賠償でいえば,遷延的意識障害(植物状態)の場合,後遺障害逸失利益については生活費控除割合が,将来介護料については在宅介護や余命制限などが問題になってきます。その他にも,住宅改造費,車両改造費,将来ベッド・車椅子費,将来雑費など,遷延的意識障害(植物状態)に密接に関連する各損害についての主張・立証をしていかなくてはなりません。
このように加害者に対する損害賠償請求一つをとっても沢山の争点があり,これを遷延的意識障害(植物状態)の被害者を常に介護している家族が行うことは計り知れない困難をともないます。そういったことから,遷延的意識障害(植物状態)の事案では,交通事故に専門的に取り組む実績ある当事務所の弁護士に是非ご依頼ください。
脊髄は脊椎(背骨)の中を通って全身に枝を出している神経の束をいいます。脊髄は脳と合わせて中枢神経と呼ばれ,脳から送られる信号を末梢神経に伝え,末梢神経からの信号を脳に伝える重要な役割を果たしています。交通事故などによって背骨に強い外力が加えられたことで,その中にある脊髄にも傷が付いてしまったのが脊髄損傷で,四肢麻痺や両下肢の対麻痺が発生し,これに伴い広範囲の感覚障害や尿路障害(神経因性膀胱障害)などの腹部臓器の障害も生じるといった後遺障害が発生します。
脊髄は現在の医学でも,一度損傷したら修復・再生することができないとされています。
麻痺には,両上肢と両下肢が麻痺する四肢麻痺,片側の上下肢が麻痺する片麻痺,両上肢または両下肢が麻痺する対麻痺,上肢または下肢の一肢のみが麻痺する単麻痺の4種類があり,脊髄損傷では,四肢麻痺か両下肢の対麻痺が発生することが多いようです。
また,麻痺の程度として,上肢または下肢が完全強直するか完全に弛緩する場合を完全麻痺といい,上肢または下肢を運動させることができても可動範囲等に問題がある場合を不完全麻痺といいます。
脊髄損傷は,どの高さの部分で損傷を受けたかによって発現する麻痺(運動障害・感覚障害)の範囲が定まり,これを高位診断といいます。
脊髄が通る背骨は首から腰にかけて順に頸椎 (C1-7) 、胸椎 (Th1-12) 、腰椎 (L1-5) 、仙椎 (S1-5) 、尾椎 (1) に分けられ,損傷箇所が上に行くほど、障害レベルは高くなります。
例えば,頸椎の中の頚髄が損傷されると四肢麻痺が生じ,第2腰髄から上が損傷されると,下肢全体が完全に麻痺したり,不完全麻痺になります。 また,脊髄の最下部(第3仙髄以下)が損傷した場合には下肢の麻痺は生じないが,肛門周囲の感覚障害や尿路障害が生じます。
このように損傷を受けた部位より下の脊髄部分が司っている機能について後遺障害が現れてきます。
脊髄損傷によって四肢に麻痺が発生するような重篤な後遺障害の場合,被害者ご本人の損害のみならず,その身の回りで日常的に介護をされる家族の肉体的・精神的負担も計り知れません。
特に加害者側に対する損害賠償でいえば,将来介護料については後遺障害の程度に応じた適切かつ妥当な金額が幾らなのか,在宅介護の費用や住宅改造費,車両改造費,将来ベッド・車椅子費,将来雑費など,脊髄損傷による後遺障害に密接に関連する各損害についての主張・立証をしていかなくてはなりません。
このように加害者に対する損害賠償請求一つをとっても沢山の争点があり,これを脊髄損傷によって後遺症に苦しむ被害者ご本人や介護に当たる家族が行っていくことは計り知れない困難をともないます。そういったことから,脊髄損傷による後遺障害の事案では,交通事故に専門的に取り組む実績ある当事務所の弁護士に是非ご依頼ください。